中国株投資レッスン

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短期的な景気対策は必要か?

配信日:2012年08月09日

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                     2012年8月9日 第224号

     「中国株投資レッスン」

       TS・チャイナ・リサーチ株式会社 田代尚機 発行
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     目次
     1.株式投資に関する有料メルマガのお知らせ
     2.短期的な景気対策は必要か?
          
1.株式投資に関する有料メルマガのお知らせ
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2.短期的な景気対策は必要か?
 足元の経済は小康状態となりつつある。

 8月1日に発表された7月の製造業PMIは50.1となり、6月と比べ
0.1ポイントの低下に留まった。

 細目を見ると、新規受注は49.0で、6月と比べ0.2ポイント
低下した。3月の55.1をピークに下がり続けている。ただし、下落幅は
縮まっており、そろそろ底打ちしそうな感じはしてきた。

 また、生産は51.8で、6月と比べ0.2ポイント低下した。こちらも
4月の57.2をピークに下がり続けている。ただし、水準自体は
景気判断の分かれ目である50を越えており、また下落幅は新規受注同様、
縮まっている。

 一方、製品在庫は48.0で、6月と比べ4.3ポイント改善した。6月の
製品在庫は大幅に上昇、昨年11月以来の高水準にあったが、7月は
急低下している。8月も低下傾向が続けば、在庫調整が進んでいることが
確認できよう。

 こうして細目をみると、少なくとも景気悪化に歯止めがかかっている。
在庫調整に多少時間がかかりそうではあるが、新規受注が上向き始めれば、
見通しはずっと明るさを増すことになるだろう。

 こうした経済情勢の下で、中国共産党中央政治局は7月31日、政治局会議
(定調会)を開催、下半期の経済運営方針を固めている。

 内容を一言で言えば、年初に決めた方針を続けるということである。
少なくとも現状の経済情勢が性急な景気対策を必要とするほど悪い
といった見方を共産党はしていない。マクロコントロールを改善強化し、
引き続き積極財政政策と穏健な貨幣政策を継続し、一時的な経済対策
ではなく、恒久的な政策としての減税政策を強化し、信用貸出の適切な
成長を保持する。国内需要の拡大に注力し、投資構造の最適化と有効な
投資の拡大を図る中で、国家重大プロジェクト計画を支持する・・・。

 注目された不動産政策については、“不動産市場コントロール政策を貫き、
投機性需要を抑制し、不動産価格の反騰を防ぐ”としている。厳しい
不動産政策のフェードアウトを期待した地方政府にとっては
失望させられる内容であった。

 株式市場では8月2日、商品不動産予約販売制度が取り消されるといった
噂が流れ、不動産セクターが大きく売られた。その後住建部はこれを
完全否定したものの、今回の騒ぎで、“不動産バブル問題を完全に解決する
ための最終兵器が存在する”ことが分かった。この予約販売制度がある
ために、不動産デベロッパーは、開発にともなうリスクを大幅に軽減する
ことができる。もしこの制度が取り消されたならば、開発資金の不足が
非常に深刻となる上、開発のリスクが大幅に高まることになるからだ。
住建部ははっきりと否定したものの、逆に今後、不動産価格が再び上昇し
始めれば、こうした方法があることをちらつかせることによって、
価格上昇を抑えることができそうだ。商品不動産バブルの沈静化にめどが
立ってきたように思う。

 ただし、商品不動産がさばけない以上、地方政府は最大の財源を絶たれる
ことになる。中国では公共投資の主体は地方政府である。中央が
インフラ投資を拡大させようとすれば、地方政府が金融プラットフォームを
通じた借入を緩和させない限り、資金不足で思うようにプロジェクトは
進まないだろう。しかし、安易な緩和は再び質の悪いプロジェクトへの
投資拡大を通じ、不良債権を増加させてしまう。

 商品不動産開発に変わる資金調達ルートを作り出さなければならない。
国務院は公共投資において民営企業による資金の導入を進める方針を
示している。間接金融において、民間資金をしっかり循環させる政策は
重要である。

 しかし、それ以上に重要なのは資本市場の充実である。IPOを通じて
低コストの資本を供給するとともに、市場を通じて経営を強化し、
プロジェクトの収益性を高めなければならない。こうした背景があるから、
今年に入ってから資本市場改革が急速に進められているのである。

 内需主導型経済への転換を成功させるためには、資本市場の発展が
不可欠である。(8月5日作成)


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