武士道・一日一話

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【武士道・一日一話】 No.13

配信日:2009年07月23日

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     武士道・一日一話 
2009.7.23     No.13
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武士道。それは日本人が本来持っている立派な人になるために必要なマナー。
私たちが生きていくうえで必要な振る舞いや責任について考えるためにため、
そして美しく、気高く生きるために、古の人たちの言葉を通して、私たちの心
をもう一度見つめなおす機会を持ちたいと思っております。


《おもな内容》・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1.【今日の言葉】 「傍目八目」の効用
2.【出典紹介】  「葉隠」・「葉隠入門」
3.【お知らせ】
4.【編集後記】


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● 「傍目八目」の効用
 
 不義を嫌うて儀を立つる事成りがたきものなり。然れども、義を立つるを至
極と思ひ、一向に義を立つる故に却つて、誤多きものなり。義より上に道はあ
るなり。これを見付く事容易に成りがたし。向上の賢智なり。これより見ると
きは、義などは細きものなり。こは我が身に覚えたるときならでは、知られざ
るものなり。ただし我こそ見付くべき事成らずとも、この道に至り様はあるも
のなり。そは人に談合なり。たとへ道に至らぬ人に手も、脇から人の上は見ゆ
るものなり。誤に脇目八目と云ふが如し。念々非を知ると云ふも、談合に極る
なり。話を聞き覚え、書物を見覚ゆるも、我が分別を捨て、個人の分別に付く
為成り。

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【要旨】

 悪を嫌って正義を通すということは、なかなか難しいものである。けれども、
正しい条理を通すことだけを一番よいことと信じ、ひたすら正義を尊ぶところ
に、かえって誤りの多くあらわれるものなのである。
 なぜなら、義とか不義とかを越えたところに、真理は存在するからなのだ。
これを発見するのは、かなり難しいことである。それをなし遂げるものは、も
っとも優れた叡智の持ち主といってよい。
 この点から眺めれば、条理などというものは小さなものである。自分の身に
感じたときでなければ、知ることはできない。
 しかし、自分でそれを見出し得なかったとしても、この道に至りつく方法は
あるものである。それは、人と話し合うことだ。たとえ道を極め得ない人であ
っても、他人のことならよくわかるものである。碁で言う傍目八目(※)とい
う言葉のようなものだ。「思いめぐらして非を知る」という言葉があるが、こ
うしたことも、話し合いに限るものである。話を聴いたり、書物を見たりして
知ると云うのも、自分勝手な分別を捨てて、古人の考えをに従うためである。

※ 碁を見物していると、対局者よりもずっと先の手まで見越して形勢が読め
る。転じて、傍観者のほうが当事者よりもかえって物事の状況がよくわかるこ
とを言う。

*「葉隠入門」(三島由紀夫/新潮文庫/1983)より
 「葉隠」名言抄(笠原伸夫訳)を引用、一部改訂

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【私見】

 迷ったときには第三者の意見に耳を傾けよという教えがこの『葉隠』には登
場してきます。関係者に聞くだけでは、的を外すことが多々あります。関係者
は良くも悪くも「利害」関係者であるもの。無私の立場の、とらわれのない位
置に立っている人の意見はとかく重要です。物事に真剣に取り組めば取り組む
ほど、細かいこと、枝葉にこだわってしまうもの。重箱の隅にこだわっている
と、いつしか重箱の大きさを忘れてしまい、大きな間違いを犯してしまいます。
 第三者の意見に聞く耳を持つことを教えると同時に、物事を「俯瞰する」意
識、「客観的に」見る意識を持つことの重要性を説いています。

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【出典紹介】 
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●「葉隠」(はがくれ)
 江戸時代中期(1716年ごろ)に出された肥前国鍋島藩藩士、山本常朝の武士
としての心得についての見解を「武士道」という用語で説明した言葉を田代陣
基が筆録したものです。

●「葉隠入門」(三島由紀夫/新潮文庫/1983)
 「葉隠」を“わたしのただ一冊の本”と心酔していた三島由紀夫が現代人に
書いた入門書です。彼の持論もありますが、「葉隠」の闊達な武士道精神を今
日によみがえらせ、現代という乱世に生きる私たちに“常住坐臥”の心構えを
説いています。


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【お知らせ】           
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●第4回 武士道協会 定期講座

 (東京)
  日時 平成21年8月1日 13時30分〜16時30分
  場所 PHP総合研究所
     東京都千代田区三番町3-10

 (京都)
  日時 平成21年8月2日 10時00分〜13時00分
  場所 PHP研究所京都本部
     京都市南区西九条北ノ内町11

 講師 小野 晋也 氏 (武士道協会専務理事・衆議院議員)

 問い合わせはこちらから
 武士道協会事務局 PHP研究所内
 075-681-5514

 NPO法人 武士道協会
 http://www.bushido.or.jp/index.html

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【編集後記】           
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 最近、1949年に起こった「下山事件」に関する本を読みました。初代国鉄総
裁、下山定則氏が行方不明になり、翌日、五反野の常磐線の線路上で轢死体と
して発見された事件です。今年、事件が発生してから60年がたちますが、それ
に関する本が再文庫化されたり、人気の漫画家が題材としてあげたりしていま
す。
 時代背景、当事者の立場を推測しながら読んでいくと、改めて冷静にかつ客
観的に物事を見ること、不整合のないようにロジカルに物事を考えることの重
要性を認識します。
 それぞれの立場の人間の思惑や、エゴばかりを追い求めていくと、真実がわ
からなくなることがあります。「下山事件」は、当時の社会情勢からあえてう
やむやにしてしまった感がありますが、現在も、日本の社会においてその流れ
が続いていると感じます。世の中に「必要悪」というものが蔓延し、明るい社
会に結びついていない。今、改めて話題になるということは、そこから起きて
いる反動なのかもしれません。

 ありがとうございます。

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【武士道・一日一話】
  発行者:菅野 惠天 (武士道勉強家)

【ブログ】 武士道・一日一話 http://nippon-bushido.seesaa.net/
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