武士道・一日一話

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【武士道・一日一話】 No.14

配信日:2009年07月27日

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     武士道・一日一話 
2009.7.27     No.14
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武士道。それは日本人が本来持っている立派な人になるために必要なマナー。
私たちが生きていくうえで必要な振る舞いや責任について考えるためにため、
そして美しく、気高く生きるために、古の人たちの言葉を通して、私たちの心
をもう一度見つめなおす機会を持ちたいと思っております。


《おもな内容》・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1.【今日の言葉】 上には上があるものだ
2.【出典紹介】  「葉隠」・「葉隠入門」
3.【編集後記】


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【今日の言葉】 
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● 上には上があるものだ

 或剣術者の老後に申し候は、「一生の間修行に次第あるなり。下の位は修行
すれども物にならず。我も下手と思日、人も下手と思ふなり。この文に手は用
に立たざるなり。上の位は我が物に仕なして自慢でき、人の褒むるるを悦び、
人の不足をなげくなり。これは用に立つなり。上々の人は知らぬふりしている
なり。人も上手と見るなり。大方これまでなり。この上に、一段立ち越え、道
の絶えたる位あるなり。その道に深く入れば、終に果も無きことを見つくる故、
これまでと思ふ事ならず。我に不足ある事を実に知り手、一生成就の念これな
く、自慢の念もなく、卑下の心もこれなくして果すなり。柳生殿の、『人に勝
つ道は知らず、我に勝つ道を知りたり。』と申され候由、昨日よりは上手にな
り、今日よりは上手になりして、一生日々仕上ぐる事なり。これも果はなきと
いふ事なり。」と。

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【要旨】

 ある剣士が、老後に次のようなことを言われたそうである。『一生の間の修
行には、順序というものがあるのだ。下の位は、修行もしてもものにならず、
自分も下手と思い、人も下手と思うものである。言うまでもなく、こういう状
態ではものの役に立つはずはない。中の位は、まだ役には立たないけれども、
自分の足りない点が目につき、人の欠点もわかるもののことをいう。上の位は
どうかというと、すべてを自分自身のものに消化して、自慢ができ、人が褒め
るのを喜び、他人の足りない点を嘆くことのできるものである。これは、役立
つものといえよう。上の上といえる人は、表面に出さず、知らない振りをして
いるものである。それでいて、人も上手と思うようになる。まあ、普通の場合、
多くはここまでである。
 この上に、いっそう超越した至極の境地といったものがある。その道に深く
入れば、終わりのないことに気づき、これで満足だということにはならない。
 だから、自分の足りない点をよく知って、一生の間、これで十分だななどと
考えることもなく、もちろん慢心もなく、といって卑下する心もなく、そのよ
うにして過ごすべきである。
 柳生殿(※)が、『人に勝つ法など知らぬ。自分に勝つ法だけを知っている
のだ。』と言われたそうである。昨日よりは上達した、今日よりさらに上達し
た、といって、一生の間日々仕上げていくものなのである。修行とは、このよ
うに終わりのないものといえよう。」

※ 徳川将軍家剣道ご指南役

*「葉隠入門」(三島由紀夫/新潮文庫/1983)より
 「葉隠」名言抄(笠原伸夫訳)を引用、一部改訂

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【私見】

 とても含蓄のある言葉ですね。今でいえば、S、A+、A、B、Cという評
価になるのでしょうか。自分を含めた普通の人はAクラスで満足してしまう、
慢心してしまうものです。しかし、あらゆる優れたリーダーやエキスパートた
ちは、現状を決して良しとはせず、もっと優れたもの、もっと素晴らしいもの
を追求しています。どこまで行っても十分ということはない。不十分なことを
悟ることができることがその道にようやく足を踏み入れることだと教えていま
す。より優れたもの、素晴らしいものを追求していくことは、多くの人の心を
揺さぶっていきます。それによって、自分も励まされさらなる行動を起こすこ
とができます。
 一日一日を「今日が今までで一番だ」と過ごしていくことは大変なことでは
ありますが、「美しく、気高い」生き方です。常朝が伝える柳生殿の言葉にと
ても共感できます。

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【編集後記】           
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 ネットでニュースを見ていたら、入門してからずっと勝ち越したことがない
力士の話題が出ていました。序の口や序二段あたりでは、きちんと土俵をつと
めていれば、負け越しても番付が上がることもあるそうなので、決して最下位
の番付にはならないそうですが、今場所も残念ながら3勝4敗で負け越してし
まいました。そういう状況でも、諦めずきちんと土俵をつとめていくそうなの
で、チャンスは必ず来るでしょう。
 芸術家、寺山修二の作品の中に、「ふりむくな ふりむくな 後ろには夢が
ない」という一節がありました。出典を調べたら、「さらばハイセイコー」と
いう国民的人気を集めた競走馬の引退に寄せた詩だったんですね。負け越しを
続ける力士が頑張れるのは、まさに後ろには夢がないからなんでしょうね。後
ろがないから前に進むしかないからなんでしょうね。でも、こういう状況にな
ったら、諦めさえしなければ人間は強いものです。過ぎ去ったことよりも、前
を見て頑張りましょう!

 ありがとうございます。

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【武士道・一日一話】
  発行者:菅野 惠天 (武士道勉強家)

【ブログ】 武士道・一日一話 http://nippon-bushido.seesaa.net/
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