中国株投資レッスン

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銀行株は依然として割安

配信日:2011年04月09日

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                     2011年4月9日 第155号

          「中国株投資レッスン」

        TS・チャイナ・リサーチ株式会社 田代尚機 発行
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          目次
          1. 銀行株は依然として割安
          2.お知らせ

1. 銀行株は依然として割安
 大手銀行の2010年12月期業績が出そろった。結果は、H株上場8社
合計で24.9%増収(経常収益)、32.3%増益(国際基準)。
増益率トップは中信銀行(00998)で50.2%、最も低い
建設銀行でも26.3%の増益である。大手国有商業銀行から
中堅都市銀行まで、まんべんなく業績は好調であった。

 好業績の要因はいくつかある。まず、有利子資産の増加。中国人民銀行の
統計によれば、2010年における金融機関の各種貸出残高は
19.7%増。近年では2009年に次ぐ高い伸びとなった。当局は、
昨年だけで預金準備率の引上げを6回、利上げを2回行い、
オペレーションによる資金吸収を常態化させた。不動産向け融資は、
業者に対しても、個人に対しても絞られた。にもかかわらず、これだけ
残高が増えたということは、過剰流動性の発生があったにしても、
資金需要は非常に強かったということである。

 また、金利が上昇したこと、資金需要が旺盛で銀行による金利決定力が
強まったこと、銀行が高金利の融資を増やすなど資産構成を改善させたこと
などから、預貸金利鞘が大きく上昇した。簡単にいえば、貸出の効率が
良くなったのである。

 さらに、各銀行ともカード業務、資産運用業務など手数料ビジネスを
拡大させた。業界全体で、いわゆる富裕層向けのプライベートバンキング
業務が大きく伸びたのである。

 これだけ業績が良いのだから、銀行株のパフォーマンスも良いと思う
だろうが、実際はそうでもない。香港上場のH株8社の内、昨年7月に
上場した農業銀行を除く7社について、2009年12月31日と
2010年12月31日の株価の変化率をみると、建設銀行は7.7%高、
招商銀行は2.5%高、中国銀行は1.8%高とプラスになったものの、
工商銀行は▲8.4%安、交通銀行は▲8.4%安、民生銀行は▲8.5%安、
中信銀行は▲24.0%安。ちなみに、この期間のH株指数は▲0.8%安
であったから、7社中4社が市場平均を下回ったことになる。

 もっとも今年に入り、特に3月下旬以降、銀行株が物色されており、
2010年12月31日と2011年4月8日の株価の変化率をみると、
農業銀行は17.4%高、工商銀行は14.5%高と大きく上昇している。
上昇率の低いところでも、招商銀行は7.5%高、建設銀行は7.6%高
である。ちなみにこの期間のH株指数は7.6%上昇している。農業銀行を
含めた8社中、ほとんどの銘柄が市場平均を上回った。

 とはいえ、4月8日現在の実績PERでみると最も高い招商銀行でも
14.4倍。ほかはすべて12倍を切る水準。中信銀行は8.8倍、
中国銀行は9.6倍、交通銀行は9.9倍とこの3行は10倍を
切っている。H株の市場平均PERが13倍弱であることを考えれば、
依然として、銀行株のバリュエーションは割安である。

 投資家が昨年、銀行株に対して弱気であった理由は、預金準備率の引上げ、
利上げ、頻繁に行われる売りオペレーションによる資金吸収、
不動産価格抑制策、当局による貸出抑制指導などの政策により、資金需要が
弱まるのではないか、経済成長率が鈍化するのではないかといった見方が
強まったからであろう。

 その背景には、潜在成長率の低い先進国をみるのと同じ視点で中国経済を
見てしまっていること、中国は社会主義国であり、計画経済の機能が未だに
多く残っているのを見逃していることなどがある。

 銀行の業績は好調を維持したが、だからと言って、引き締め政策がまったく
業績に影響しなかったわけではない。厳しい政策を打ち出しても、
資金需要が非常に強いため、効果がそれなりであったということだ。

 今後の見通しはどうなるであろうか?

 今年は第12次五カ年計画の初年度である。これから政府は
内需主導型経済に移行するために、地域開発を強化し、都市化を
加速させる。高水準のインフラ投資が続くであろう。戦略的新興産業の
発展育成によって、国有セクターだけではなく、民営セクターへの貸出も
大きく伸びるであろう。さらに、所得水準の引上げなどによって、消費を
拡大させる。流通、サービス関連など非製造業でも資金需要は高まるであろう。

 また、金利上昇は銀行にとってポジティブである。銀行の資産負債管理を
みると、預金は短期のウエイトが高く、貸出は長期にウエイトが高い
といったアンバランスな状態である。利上げが行われても、期日の短い
預金金利は小幅にしか上がらず、期日の長い貸出金利は大幅に上がる。
つまり、利上げによって預貸金利鞘は上昇するのである。

 一方、政府は過剰流動性を解消させ、インフレ期待が高まらないように、
さらに、不動産をはじめとした資産バブルが発生しないように、しばらくの間、
緊縮的な政策を続けるであろう。

 しかし、政府は“悪い資金需要”を抑えようとしているが、
“良い資金需要”まで抑えることはしない方針である。また、
“良い資金需要”は非常に強く、ちょっとした利上げくらいでは
鈍化しないだろう。

 銀行株の予想PERは依然として、軒並み10倍を割っている状態だと
考えている。銀行株のバリュエーション修正はこれからも続くはずだ。


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2.お知らせ
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