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【歴史・一日一話】2009.05.11 第733話 大津事件。 司法権の独立

配信日:2009年05月11日

【歴史・一日一話】(毎日2分で読める歴史)
 第733話 大津事件。司法権の独立

  1891年(明治24年)5月11日、滋賀県大津で、来日中のロシア
  の皇太子ニコライが沿道警備の巡査・津田三蔵に斬りつけられました。

  皇太子ニコライは、のちの皇帝ニコライ二世です。

当時のロシア帝国は国策として、シベリア横断鉄道の建設を計画してい
ました。

  その建設開始が1891年(明治24年)であり、皇太子ニコライは極
  東地区の起工式典参加のため、艦隊を率いてウラジオストクに向ってい
  ました。

  その途中での日本訪問です。

  ロシア艦隊の陣容により、日本を威圧しようとしたのかも知れません。

  皇太子ニコライの一行は長崎と鹿児島に立ち寄った後、神戸に上陸し、
  京都に向かいました。

  小国であった当時の日本は政府を挙げて皇太子ニコライを接待しました。

  京都では季節外れの五山送り火まで行われました。

  そして5月11日、皇太子ニコライは京都から琵琶湖への日帰り観光を
  しました。

  同日の昼過ぎ、人力車で大津を通過中、警備を担当していた滋賀県警巡
  査の津田三蔵が突然サーベルを抜いて斬りかかり、皇太子ニコライを負
  傷させました。

  津田三蔵は、人力車を曳いていた車夫の向畑治三郎、北賀市市太郎らに
  取り押さえられました。


  事件に驚愕した日本は、明治天皇自らが皇太子ニコライを見舞うため、
  翌日の列車で、京都へ向いました。

  そして、5月13日、明治天皇が皇太子ニコライを見舞い、謝罪しまし
  た。

  小国であった日本が大国ロシアの皇太子を負傷させたとして、「事件の
  報復にロシアが日本に攻めてくる」と日本国中に大激震が走りました。

  当時の言葉では『恐露病(ロシアを恐れる病気)』という、一種のパニ
  ック状態になりました。


  ロシア国内でも強硬論があったでしょうが、結果的には賠償要求も武力
  報復も行われませんでした。

  むしろ問題は、日本国内での津田三蔵の裁判にありました。

  政府は事件を所轄する裁判官に対して、当時の刑法116条に規定する
  天皇や皇族に対して危害を与えたものに適用すべき『大逆罪』によって
  死刑を適用するよう働きかけました。

  当時の刑法116条は、日本の皇室に対して適用されるものであって、
  外国の皇族に対する犯罪は想定されていませんでした。

  したがって、法律上は一般人に対する扱いにせざるを得ません。

  つまり、負傷させただけですから、死刑を宣告するのは法律上は不可能
  であったのです。

  当時の大審院(現在の最高裁判所)院長の児島惟謙(こじま・いけん)
  は「日本は法治国家であるから法は遵守されなければならない」と主張
  していました。

  その立場から「刑法に外国皇族に関する規定はない」として政府の圧力
  に反発しました。

  事件から16日後の5月27日、一般人に対する謀殺未遂罪を適用して
  無期徒刑(無期懲役)の判決が下されました。


  この事件の裁判は『司法権の独立』が達成されたといわれています。

  しかし、大津地裁で扱われるべき事件を正常な手続きなしで大審院に移
  したり、裁判に直接関わっていなかった児島惟謙が干渉を重ねたことは
  裁判官の独立等の問題として残りました。

  これ以降、三権分立や司法のあり方などは活発に議論されるようになり
  ました。

  海外でも大きく報じられ、国際的に日本の司法権に対する信頼を高めた
  といわれています。

  これにより、日本が近代法を運用する主権国家として、当時進行中であ
  った不平等条約改正へのはずみとなったのです。


  なお、この事件は日露戦争開始の13年前です。

  津田三蔵を取り押さえた人力車夫の向畑治三郎、北賀市市太郎は、国難
  を救った英雄となり、日本政府からだけでなくロシアからも報償金、年
  金を贈られました。

  しかし、日露戦争が始まると、一転して周囲の目が冷たくなりました。

  どちらも晩年は不遇であったと伝えられています。


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