武士道・一日一話

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【武士道・一日一話】 No.11

配信日:2009年07月16日

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     武士道・一日一話 
2009.7.16     No.11
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武士道。それは日本人が本来持っている立派な人になるために必要なマナー。
私たちが生きていくうえで必要な振る舞いや責任について考えるためにため、
そして美しく、気高く生きるために、古の人たちの言葉を通して、私たちの心
をもう一度見つめなおす機会を持ちたいと思っております。


《おもな内容》・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1.【今日の言葉】 男らしい男がいなくなった風潮
2.【出典紹介】  「葉隠」・「葉隠入門」
3.【お知らせ】
4.【編集後記】


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【今日の言葉】 
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● 男らしい男がいなくなった風潮
 
 或人の咄に亨庵先生申し候は、「医道に男女を陰陽に当て、療治の差別ある
事に候。脈も替り申し候。然るに五十年依頼男の脈が女の脈と同じものになり
申し候。爰に気がつきて候てより、眼病の療治をして見申し候に、その験これ
なく候。さては世が末になり、男の気おとろへ、女同前になり候事と存じ候。
これは慥かに仕覚え申し候事故、秘事に仕置き候。」と申し候由。これに付て
今時分の男を見るに、いかにも女脈にてあるべしと思わるるが多く候。あれは
男なりと見ゆるはまれなり。それに付今時少し力み申し候はば、安く上手取る
筈なり。さて、又男の勇気ぬけ申し候証拠には、しばり首にても切りたる者す
くなく、まして介錯などといへば、断りの云ひ勝を利口者・魂の入りたる者な
どと云ふ時代になりたり。股ぬきなどと云ふ事四五十年以前は男役と覚えて、
疵無き股は人中に出されぬ様に候故、独してもぬきたり。皆男仕事血ぐさき事
なり。それを今時はたわけの様に云ひなし、口の先の上手にて物をすまし、少
しも骨々とあることはよけて通り候。若き衆心得有りたき事なり。

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【要旨】

 ある人の話だが、医師亨庵が、以前、次のように述べたそうである。
「医学では男女を陰陽に区別して、治療するにも本来差別があるものだ。脈も
男女では違っている。しかし、ここ五十年ほどの間に、男の脈が女の脈と同じ
ような調子に変わってきている。このことに気づいてから、眼病の治療に際し
て、男に対しても女の治療で事足りるようになった。男に、男にふさわしい治
療をして見ても一向にしるしがあらわれず、さては末世ともなり、男の意気が
衰えて女同様になってしまったかと考えている。これは体験したことなので、
秘密にしてある。」
 このことを念頭において最近の男を見ると、いかにも女脈でもあろうか、と
思われることが多く、あれは誠の男だと見えるのはまずまれである。それだけ
に、近頃は少しの努力によって、簡単に上位のものになることが可能である。
 それにしても、男の勇気が抜けてしまった証拠には、縛り首の罪人すら切っ
たものが少なく、まして切腹の介添をしなさい、などといえば、上手に断った
ほうが利口者、などといわれる時代になってしまった。<股ぬき>(※)など
ということも、四、五十年以前はもっぱら男がやるものとされ、傷のない太も
もなどは人なかに出されぬしろものであったから、一人ででも傷をつけたもの
だ。皆、男の仕事、血気にはやったこととされていた。それを、近頃は阿呆の
ようなこととされ、口先ばかりの達者さで物事を処理し、少しでも骨の折れそ
うなことはよけて通るようになってしまった。若者たちにも、こうした点につ
いていろいろ考えてもらいたいものではある。

※ 短刀で太股を刺して我慢比べをする「遊び」があったそうです。

*「葉隠入門」(三島由紀夫/新潮文庫/1983)より
 「葉隠」名言抄(笠原伸夫訳)を引用、一部改訂

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【私見】

 「男の脈と女の脈が同じような調子になってきた」というのは、まるで現代
を予見しているような内容です。当時でも、そう感じる人がいたのは驚きです。
最近は男性が女性らしく、女性が男性らしくなりました。なぜ、そうなったの
を考察したときに、行き過ぎたジェンダーフリーが原因の一つではないかと感
じます。競って共同性を主張し、男女の区別があいまいになったのと並行する
ように、物事のけじめが希薄になっているような気がします。何でも同じにす
ることが平等だというのは錯覚であり、法律上の権利と肉体上の差異を混同し
ているきらいがあります。そこから価値体系や人間性の崩壊につながっていく
のではないかと感じます。
 今、流行している「草食系男子」を山本常朝が見ていたらどんな風に叱咤す
るのでしょうか。また、新渡戸稲造の「武士道」が説く「ノーブレス・オブリ
ージュ」の概念の一つをわかりやすく表現したのがこの「男は男らしく、女は
女らしく」という価値観です。そして、道徳的倫理だけでなく、種の保存とい
った観点から見ても、「男らしくない男」が増えることは危機でもあります。
口先だけヘラヘラしてお調子者で、自分の世界の中で生きる「草食系」でなく、
気概があり、勇猛果敢、でも優しさのある「武士道系」を目指して欲しいです。

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【出典紹介】 
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●「葉隠」(はがくれ)
 江戸時代中期(1716年ごろ)に出された肥前国鍋島藩藩士、山本常朝の武士
としての心得について見解を「武士道」という用語で説明した言葉を田代陣基
が筆録したものです。

●「葉隠入門」(三島由紀夫/新潮文庫/1983)
 「葉隠」を“わたしのただ一冊の本”と心酔していた三島由紀夫が現代人に
書いた入門書です。彼の持論もありますが、「葉隠」の闊達な武士道精神を今
日によみがえらせ、現代という乱世に生きる私たちに“常住坐臥”の心構えを
説いています。


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【お知らせ】           
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●第4回 武士道協会 定期講座

 (東京)
  日時 平成21年8月1日 13時30分〜16時30分
  場所 PHP総合研究所
     東京都千代田区三番町3-10

 (京都)
  日時 平成21年8月2日 10時00分〜13時00分
  場所 PHP研究所京都本部
     京都市南区西九条北ノ内町11

 講師 小野 晋也 氏 (武士道協会専務理事・衆議院議員)

 問い合わせはこちらから
 武士道協会事務局 PHP研究所内
 075-681-5514

 NPO法人 武士道協会
 http://www.bushido.or.jp/index.html

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【編集後記】           
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 酷暑の候となりました。甲斐の恵林寺の快川(かいせん)和尚は

『安禪不必須山水 滅却心頭火自涼』
「安禅は必ずしも山水を須(もちい)ず、心頭を滅却すれば火自ら涼し」

という一偈を残しています。「黙々として坐禅をしておられる。しかも蔭とな
る一本の松も竹もない炎天下のある家の室で坐っておられる。何も坐禅をする
所は静かな山の中や涼しい川辺でなくてもよい」。厳しい言葉ですが、暑いと
きも我慢ではなく、それを受け入れ、自然に生活していけたら素晴らしいです
ね。

 でも、体調管理は大事です。熱中症に気をつけて水分やミネラルをこまめに
摂取して、自分の体と相談しながら過ごしていきましょう。

 ありがとうございます。

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【武士道・一日一話】
  発行者:菅野 惠天 (武士道勉強家)

【ブログ】 武士道・一日一話 http://nippon-bushido.seesaa.net/
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