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【経営戦略考11/07/14】場所にではなく、人に届ける＞利便性とコストダウンを同時に実現

配信日：2011年07月14日

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あなたの企業が行なっている業務のうち、顧客に移管することがで
きるものはないか、考えてみよう。顧客にとっての利便性が向上す
ると同時に、自社にとってのコストダウンになる可能性がある。

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━━━━━━━━━━━━━━━━ 2011/07/14（通巻2104号）━
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■■　　　場所にではなく、人に届ける
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━━━━━━━━━ 情報源：日経産業新聞 2011.07.14【8面】━

私が代表を務める銀座コーチングスクールでは、この１年、講師の
養成にかなりのエネルギーを注いできました。

その際、特に強調しているのは、テキストやカリキュラムを教える
のではなく、受講者に教える、ということです。

最近のヤマト運輸のＣＭで使われている「場所に届けるんじゃない。
人に届けるんだ。」というフレーズを耳にして、「まさにそのとお
り」と感じました。

そのヤマト運輸、14日付けの日経産業新聞によると、「主力商品の
『宅急便』をてこ入れし好調を維持している」とのことです。

宅急便が登場したのは1976年で、それ以来、サービスが進化し続け
ています。

荷主に代わって荷物を運ぶのは、太古の昔からあるようなビジネス
ですが、にも関わらず、まだまだ進化の余地をみつけることができ
るというのは、非常に興味深いです。

では、どうすれば、新たなサービスを発想することができるのか。

そのためには、場所にではなく、人に届けるという視点は、非常に
有効です。

というのは、自社が提供するサービスの、本質的な価値を言い表し
ているからです。

「本質的な価値」に着目してイノベーションを起こすことは、バリュー
・エンジニアリングの考え方にも通じます。

宅急便の場合、「人に届ける」という本質的な価値の提供を具現化
するサービスとして、「ｅ−メール通知機能」があります。

これは、「荷物の到着や届ける日時の予定を知らせるメールを送付。
顧客はメールを見てから受取日時や場所などを変更可能」にするも
のです。

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■■　　　利便性とコストダウンを同時に実現
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これは、顧客にとっての利便性が高まるので、ありがたいサービス
です。

一方で、「ヤマト側にとっては配達した時の不在の率が減り配達が
効率化できる」というメリットも生まれます。

顧客にとっての利便性を高めようとすると、一般的には、売り手側
がそのコストを負担するか、価格に転嫁されるケースが多いのでは
ないでしょうか。

ですが「ｅ−メール通知機能」では、利便性が高まると同時に、ヤ
マト側のコストの低減（配達の効率化）も実現します。

新たなサービスを開発するなら、このように、利便性向上とコスト
ダウンの両者を実現するものが望ましいです。

そのような例として、同じ14日付けの日本経済新聞に、複合映画館
大手のTOHOシネマズが自動券売機を導入する、という記事が掲載さ
れています。
−日本経済新聞 2011.07.14【13面】

映画館側は人件費の削減となり、顧客は、対面販売よりもスムーズ
にチケットが買えるようになるでしょう。

利便性向上とコストダウンの両者を実現する方法の一つは、売り手
側の業務の一部を買い手側に移管することです。

「ｅ−メール通知機能」では、配達に関する情報の管理という業務
を、顧客に移管していることになります。

チケットの自動券売機についても、発券業務の一部を顧客に移管し
ていると言えます。

料理のバイキング（食べ放題）が儲かると言われているのは、給仕
業務を顧客に移管し、人件費を節約できるからです。割安で、好き
なものだけ選んで食べられるとすれば、顧客も満足です。

自社の業務の一部を顧客に移管する余地はないか、考えてみましょ
う。

利便性向上とコストダウンの両方を実現する、ユニークなサービス
が生まれるかも知れませんよ。

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