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【経営戦略考11/05/13】旅館などの「訳ありプラン」が人気>適正価格でビジネスの健全化を

配信日:2011年05月13日

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あなたの企業では、自社の商品・サービスの適正価格を、どのよう
に査定しているだろうか。その査定が的確にできれば、「訳あり商
品」のような大幅な値引販売をする必要はなくなるし、業界として
もビジネスの健全性を維持できる。

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■■   旅館などの「訳ありプラン」が人気
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━━━━━━━━━ 情報源:日本経済新聞 2011.05.13【31面】━

13日付けの日本経済新聞に、「旅館などの『訳ありプラン』がイン
ターネット予約を中心に人気を集めている」という記事が掲載され
ています。

「訳あり」とは、「客室からの眺望が悪い」「旅館内の一部が改装
工事中」といった事情を指すのだそうです。

記事で紹介されている「訳ありプラン」では、大体、通常料金の半
額で提供されています。

リクルートの「じゃらんネット」では、昨年7月より「訳ありプラ
ン特集」を始めていますが、「今年4月の予約数が昨年9月より50
%増加」と、最近になって非常に人気が高まっています。

同じ部屋でも、眺めのよい部屋とそうでない部屋は、顧客に提供し
ている価値が違うのですから、全く別の部屋だと考えるべきでしょ
う。

そこで、十把一からげではなく、それらを区別し、思い切って差を
つけた料金設定にしたわけです。

顧客に提供している価値は、「品質」と言い換えてもよいでしょう。
農産物などでも、品質が等級別され、当然、価格に差がつきます。

ネット通販では、何らかの不具合で正規品として販売できなくなっ
た商品を、「訳あり商品」として激安販売する例が、かなり以前か
ら見られます。

すべてが完璧であれば、正規価格での販売になりますが、どこかに
不具合があれば、それが値下げ販売の理由になります。

もし値下げ販売をしないとすれば、オール・オア・ナッシングとな
り、不良品として廃棄処分することになってしまいます。もったい
ないですね。

オール・オア・ナッシングではなく、品質や仕様を細分化する視点
を価格設定に取り入れるとしたら、たとえば1泊2食の宿泊プラン
の場合、部屋の広さでいくら、眺めの良さでいくら、食事でいくら、
ふとんのグレードでいくら、温泉までの距離でいくら等々で料金を
見積もることができるはずです。

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■■   適正価格でビジネスの健全化を
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そう考えると、「眺めの良さ」が“減点”対象となる場合でも、料
金を半額にするのほどのウェイトがあるのだろうか、疑問に思いま
す。

ネット通販の場合でも、箱が多少潰れている程度のことが、“激安”
にするほどの値引きを正当化するのか、これまた疑問です。

つまり、一律かつおおっぴらに値引き販売できない場合の方便とし
て、「訳あり」で理由づけしているのだと、うがった見方ができな
いでもありません。

ですが、この考え方は、商品の価値と価格は比例すべき、という前
提に立ったものに過ぎません。しかも、その「価値」は、供給者側
から見たものであり、必ずしも顧客視点に立脚はしていません。

経済学の初歩ですが、価格は商品の価値によってではなく、需要と
供給のバランスによって決まります。

要するに、眺めが良くなかったり、箱が潰れていたりする商品につ
いて、どこまで値段を下げれば顧客が買ってくれるのか、という問
題です。

「訳あり」に人気が集まっているとすれば、需給の均衡点を下回る
価格が設定されていることになります。

ですので、上述の価値ベース価格と「訳あり商品」価格との間のど
こかに、“適正価格”が存在するはずです。

安値は喜ばれますが、それがデフレ経済を招いているという弊害も、
見過ごしにはできません。

今回の記事の取り組みは肯定的に報じられていますが、あくまでも
「例外的」な存在のようにも感じられます。

もしこれが“通常”のビジネスへと進化させていくとすれば、需給
がバランスする“適正価格”を追求する必要があるでしょう。

その点、中古車の市場などでは、その“適正価格”が実現している
ように思います。「使用済み」というのは「訳あり」の最たるもの
ですが、中古車の場合は既に市民権を獲得し、「正規品」と呼んで
もよい存在です。

個人的な意見としては、商品の価値が、仕様や品質で適正に評価さ
れ、「訳あり商品」として特別扱いする必要がなくなることが、理
想だと思います。また、それが市場・経済として健全な姿ではない
でしょうか。

もし中古車市場のように、「訳あり商品」を適正に評価・査定でき
る仕組みができれば、対象となる業界において、画期的な取り組み
になるはずです。

※「じゃらんネット」の訳ありプラン特集
 → http://www.jalan.net/theme/wakeari/wakeari_index.html

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